第8章 ♡その想いは甘く優しく、そして我が儘で
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『ねぇ、どうしてもだめ?』
「......だめ、です...。」
あれから、コトを終えた後
めるは凌と幾度に渡る押し問答を続けていた。
『確かに月臣も魅力的な男だとは思うよ?
それは認める。少なくとも僕の従兄弟だしね。
でも、僕の方がずっといい男だと思うんだけど...
現に月臣より僕の方が何倍もモテてるでしょ?』
「そ、ういう問題では......」
『じゃあどういう問題?
...ああ、もしかして僕について行ったら、
あとあと月臣に何されるかわかったもんじゃないし、
それが怖いのかな?』
「ま、まぁそれもありますけど...」
めるが困ったようにそう返すと
凌はにこりと笑う。
『それなら心配ないよ。
僕は月臣とは従兄弟同士だし、
かなり長い付き合いがあるけど、
あいつが何かに執着したところなんて
1度も見たことがないんだ。
だから、きっと君が僕のところに来るってなっても、せいぜい僕がちょっと文句を言われる程度だよ』
「.........」
めるはその言葉に、
本当にそうなのだろうかとさらに眉を寄せる。
確かに、月臣に“執着”とまでの感情を抱かれている気は一切ないが、
個人的には、花臣や凌に抱かれた後の“お仕置き”では、いつもそれなりの痛手を与えられているように感じる。
凌はこうは言っているが、
めるにはどうしても、
そんな簡単に済むような話には思えなかった。
「で、でも......」
『...うーん、まだだめな理由があるの?
......あ、もしかして...
月臣のことを好きになっちゃったとか?』
「...えっ......い、いえ!!そんなことは!」
その言葉に、めるは弾かれたように
ぶんぶんと首を振り否定をする。
「それじゃあなぁに?
もしかして花ちゃん?
さすがに雪くんではないとは思うけど......」
『ど、どちらも違います...!』
「そうなの?それじゃあほかの...」
『で、ですから!そういうことではなく...!』
凌が思案するように言葉を続けるも
めるが声を被せてそれを遮る。