第7章 ♡月と雪と日陰の花と、日向の花
すると、彼はまた、困ったように笑っていた。
『......まぁ、そりゃあ、そうだよね。
ハナからすぐに受け入れてもらえるなんて...
そんなことは思ってなかったよ。』
「......」
その表情と声に、めるは緊張が解けたように
強ばらせていた身体を緩める。
そんなめるを見て、花臣は小さく笑い
ゆっくりと頬に添えていた手を優しく動かす。
『でも......絶対に君を振り向かせてみせる。
僕のことを、好きって...絶対に言わせてみせる。
だから......覚えておいて。』
「...え......」
『僕がめるちゃんのことを、好きなこと。
覚えておいてね...?』
「.........わかり、ました...」
『...ありがとう......ちゅっ』
めるのその言葉に、花臣はにこっと笑って
もう一度優しく唇にキスを落とすと
ぐーっと背伸びをして身体を起こす。
『......それじゃあ...ごめん。
僕、割とまじで今忙しくて時間ないから
すぐ仕事に戻るね…雪にぃがまた探してるかも』
「......あ、は、はい...」
『...よいしょと』
花臣は起き上がると、
急いで服を着ていく。
『......じゃあ、ごめん。もう行くね。また...』
「あ......花臣さん!」
花臣が部屋の扉に手を掛けたの見て
めるは思わず呼び止める。
『ん?なに?』
「......あ...その...
お仕事、辛くなったら.........」
『ん?』
「お仕事、辛くなったら、...
いつでも、私のところに来てください。
...その時は、今日の朝みたいに、
沢山ぎゅってして、いっぱい...よしよし、します。」
『......っ』
「花臣さんも...辛い時は、私に頼っていいって...
その、こと、覚えていてください...。
それじゃ...その...お仕事無理しないで......え?」
伝えるのに必死になっていたら
扉の前にいたはずの花臣が
自分のすぐ側に戻ってきていて
驚きに顔をあげる。