第5章 ミステリートレイン
「あのー…失礼しまー…」
「わ、バカ!入るな!!」
大声で窘めた男性はパシュッとサイレンサー付きの拳銃で2発撃たれ勢い良く座席に沈み込み、キャップ、サングラス、マスクにフードと完全装備の人物が逃走する。
その姿に目を輝かせたのは探偵団の三人だ。
「スゲー!本物みてーじゃん!」
「追いかけましょう!」
「これってミステリーっていうより…」
「ただの鬼ごっこだな…葵ちゃん行くよ!」
『あはは…うん』
間違いない。
大人の足に敵う筈もなく、暫く走って犯人を見失った探偵団に車掌が告げたのは、まだ推理クイズが始まっていないという摩訶不思議なものだった。
「まだ事件なにも起きてないの?」
「今回はあと1時間後だったかな?」
「っ!」
『わわわわっ!コナンくん!?』
この子手繋いでるの忘れてるんじゃ…!と思う程ぐいぐい引きずられるように走る。
彼のスピードを落とさないよう必死でついていくが、コナンの足が止まる頃には肩で息をしていた。
「あら、コナンくん。葵ちゃんも」
だがそこにいたのは蘭達で、彼女達はここは7号車でなく8号車だといたって普通に答えた。
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