第4章 新たなる
はい、事件で…と話している蘭の声を聞きながら、泣き止もうと目をこするとふわっと頬にハンカチがあてられた。
「こすったらダメだよ?これ使って。というか葵ちゃん安室さんと暮らしてたんだね」
『っ…うん。コナンくんなんで、透くん知ってるの?知り合い?』
「う、うん。ボクポアロの上に住んでるからよく会うんだ!いつから一緒なの?」
『…おととい…から』
「そっか!安室さんって…」
ハンカチを渡しながらも情報を聞き出そうとするコナンに涙が引っ込んだ。
安室を疑っているらしい彼に情報を渡さないよう、慎重に言葉を紡いでいく。質問が終わるころには完全に泣き止んだが、今度は冷や汗が止まらない。恐ろしい…江戸川コナン
「葵ちゃん!安室さんが今からポアロにおいでって。行こう?」
「あ、じゃあボクと蘭姉ちゃんでポアロに送っていくから世良の姉ちゃんたちは先に現場に行っててくれる?」
沖矢にお礼を言って新一の家を出てから二手に別れる。
蘭に手を引かれ、今度は葵の情報を聞き出そうとするコナンに内心苦笑しながら、今度は素直に返しているとポアロの看板が見えてきた。
店内には安室と女性の店員しかいないようで、カランカランとベルを鳴らして中に入る。
こちらを見た彼が苦笑いでしゃがんで腕を広げるので、駆け寄って思い切り抱き着けば、そのまま抱き上げられた。
『透くんっ!』
「おかえり、葵ちゃん。すみません蘭さん。コナンくんも、ありがとう」
「いえ。あ、あの安室さん、葵ちゃん今日い「蘭さん」
「先ほど聞いた話で何となくわかりましたから。その先は…」
「あっそうですよね…すみません」
「遺体」と続くであろう蘭の言葉を遮る安室の苦笑いを含んだ声に耳を傾けつつトン、トンと宥めるように背中を叩く大きな手に安心していつの間にか眠りに落ちていた。
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