第2章 タイカ
『あなたに会えてよかった。私の体はもうもたない。
私の願いを叶えてください。クロウさん。』
クロウは微笑みながら時雨に近寄り、優しく涙を拭った。そして
「私にですか?侑子がいるのに?なぜですか?」
と、聞いた。時雨は首を振り
『ダメなんです。クロウさんでなければダメなんです。
・・・侑子さんは私の願いを叶えられない。叶えちゃいけないんです。
私の体は強すぎる魔力のせいで弱くなっている。体が耐えられなくなる前に・・・。
お願いします。どうか私の願いを。』
と、言った。クロウはそれを聞きハッとあることに気づき言った。
「そうか。あなたは侑子さんに最も近くて、最も遠い存在。あなたの願いを彼女が叶えると世界が歪んでしまう。そして彼女の魂とあなたの魂にキズがつく。
・・・わかりました。あなたの願いを叶えましょう。」