• テキストサイズ

Fortuna【ラッキードッグ1】

第7章 女神の軌跡(6)


「…いいよ、大丈夫。ごめんね」

「なんでトゥーナが謝んのけ?」

「なんとなく」


よくわからないけど…うん、わからないから。
今も昔も、ジャンのこと何もわかってなくてごめんね。


「…ダーリンたら、ほんとアタシに甘いんだから〜」


ジャンがわざとらしくそう言って、自分を抱きしめているわたしの手に触れてきた。

いつもの調子に戻った声色を聞いて、口元に笑みが浮かんでくる。
わたしがジャンに甘いなんて、そんなの…。


「愛してるんだからしょうがないよ、ハニー」


その夜。わたしが金のリングに入ることはなく、ジャンを抱きしめたまま眠――…


「ねぇジャン、そういえば歯は磨いた?」

「……」

「またサボったんですね」

「…ぐー…ぐー…」

「わかりやすい寝たフリやめなさい」

「…もういいじゃねぇかよ、明日、ちゃあんと磨くってぇ〜…!」


――こんな攻防をしばし繰り返し、保護者な女神と金髪坊やの夜は更けていったのだった。

躾はきちんとしましょう。

NEXT→(7)
/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp