第7章 女神の軌跡(6)
「…いいよ、大丈夫。ごめんね」
「なんでトゥーナが謝んのけ?」
「なんとなく」
よくわからないけど…うん、わからないから。
今も昔も、ジャンのこと何もわかってなくてごめんね。
「…ダーリンたら、ほんとアタシに甘いんだから〜」
ジャンがわざとらしくそう言って、自分を抱きしめているわたしの手に触れてきた。
いつもの調子に戻った声色を聞いて、口元に笑みが浮かんでくる。
わたしがジャンに甘いなんて、そんなの…。
「愛してるんだからしょうがないよ、ハニー」
その夜。わたしが金のリングに入ることはなく、ジャンを抱きしめたまま眠――…
「ねぇジャン、そういえば歯は磨いた?」
「……」
「またサボったんですね」
「…ぐー…ぐー…」
「わかりやすい寝たフリやめなさい」
「…もういいじゃねぇかよ、明日、ちゃあんと磨くってぇ〜…!」
――こんな攻防をしばし繰り返し、保護者な女神と金髪坊やの夜は更けていったのだった。
躾はきちんとしましょう。
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