第7章 女神の軌跡(6)
「ジャン、そろそろフザけるのやめない?」
「今からすげぇイイとこだから、やめたくねー……もっと甘えていいって言ったのはトゥーナだぜ」
「……言ったけど…」
これって甘えてるの?なんか違わない?
胸に触れてくる手つきも、いつもとは違って…なんというか、上手く言えないけどヤラしい感じがする。
「一晩中、可愛がってくれンだろ?ダーリン」
「いつもなら大歓迎なんだけど状況的にムリだよ、ハニー」
念願のダーリンハニー呼びなのにちっとも楽しめない、ほんとに何だこの状況。
「そんな寂しいこと言わないで…っと」
「っ、なにす…だめダメそれはダメ、Stop!」
ただでさえ肩出しのワンピースをジャンが胸下まで引っ張った。
さらにブラジャーを上にズラそうとするジャンの手を掴み、目を見つめて強く訴える。
「…風呂には一緒に入ろうとするクセに」
「お風呂は話がべつです。全身キレイに洗われるって言うなら、いつでもジャンの前で裸になってあげる」
「トゥーナのOKラインって、マジわかんねぇ…」
ジャンはそう呟くように言うとわたしの上から体を動かし、すぐ隣でゴロンと横になった。
「ねえ、ジャン?」
上半身を起こして服をきちんと直し、背中を向けているジャンに声をかける。
「只今ジャンは傷心の身で猛烈に反省中なンで、しばらくほっといてくださる?」
言ってる意味はよくわからないけど、ヘコんでいることは間違いない。
しょうがないなぁと思いながら、同じように横になるとジャンを後ろから包むように抱きしめる。
「反省って…さっきしたこと、悪いとは思ってるの?」
「…正直、全然悪いと思っちゃねーし、お前にしたこと謝る気もねぇよ…ただ、」
正直、少しくらい悪いと思ってほしかったです。
「ただ?」
「……やっぱなんでもねぇ。今の、忘れて…変なことして悪かった。ごめんね」
中途半端に言いかけた言葉の続きが気にならないと言えば嘘になるけど、深く追求することはしない……いや、できない。