第11章 修復
ポートマフィア本部ーーー
「ロマネの六十四年ものです」
ワインとグラスを持って中也が祝酒の準備を始める。
「善いのかえ?秘蔵の品じゃろ?」
先に座っている紅葉が中也に問うた。
「今日の為に取っておいた」
コクッと頷きながら、準備の手を進める。
「勝利に」
首領である森、紅葉と中也の三人で乾杯し飲み始めた。
「芥川の処罰は如何します?」
「処罰?彼は今回の功労者だ。それに芥川君は昔からそうだよ。独走し破壊し結果的に最大の貢献をする。彼なりの嗅覚だろうね。成功している限り処罰は無い。それにーーー」
「?」
「紬君が管理している範疇だったのだろう。私が如何こう云わずとも大丈夫」
確かにそうか。アイツが知らねえ訳無ェし。
フッと笑って云う森の言葉に納得する中也。
そんな事を考えていると、丁度のタイミングで入室者が現れる。
「戻りました」
「おお。お帰り、紬君」
「早かったのう」
紅葉が手招きし、隣に着席を促す。
紬がそれに従い腰を下ろしたと同時に紅葉に指示されて中也がワインを渡した。
「随分と高級なものを」
「今日くらいはな」
紅葉と乾杯を済ませると紬も早速、飲み始めたのだった。