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【文スト】対黒・陰

第8章 因果


中原中也はとある路地に来ていた。


目の前に転がるのは人間。

「これだから外部の奴等は信用出来ねえ」

舌打ちしながらその光景を眺め、耳に手を当てた。


「首領 襲撃は失敗です。尾行も付けましたが―――」

『腐っても探偵の親玉だ。尾行されるほど柔じゃあないさ』

その耳に嵌まった通信機で首領―――森に現状報告をする。


『善いよ、予定通りだ。刺客の袖に付けた放射性追跡元素は?』


森の通信を聞いて、中也がゴソッとポケットから機械を取りだす。


「反応は良好」

『其処が探偵達の隠れ家だ』


中也がその機械が反応を示す場所の詳細を確認を始める。

「中也」

「!」

背後から声を掛けられて手を止めて振り向く。
立っていたのは想像通り、相棒だ。

「早ェじゃねーか」

「うふふ。私は元より仕事は早い方でしょ。それを毎回する程の遣る気がないだけで」

「そのせいで俺は迷惑被ってる」

「知ってるとも、態とだもん」


イラッとして相棒こと、紬の首を絞める。


『君達、痴話喧嘩は終わってからにしてくれない?』

「「痴話喧嘩じゃあありません」」


溜め息混じりで通信を入れてきた森に口を揃えて反論する。

『紬君。例のモノは?』

「此処に」

『ふふっ。流石だ』

報告が終わると、紬は手に持っていたモノを中也に渡した。

写真だった。

『宜しい。では中原君、手筈通りに』

「はい」

中也が再び、先程取り出した機械に目を移す。

「首領」

『何かな?』

そんな中也を見て、紬は通信を始める。


「『Q』の解放をお願いしたいのですが」

『!』
「!?」


その内容に、中也がバッ、と。勢いよく紬の方を向く。

紬は何事でも無いように返事を待っていた。


『判った。君に任せよう』

「有難うございます」

「……。」


そこまで話して通信機を切った。


「じゃあ中也、頑張ってねー」

「……。」


紬は別行動なのだろう。手を振って見送る姿勢に入る紬。


「はぁ。程々にしとけよ、マジで。知らねぇからな」


その頭をコツンと叩いて中也は去っていった。


「優しいねぇ中也は」


苦笑しながら呟くと紬もその場から去った。
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