第7章 現状
豪華なスイーツがずらりと並んでいるテーブル。
そこに一人、着席してそれらをもくもくと食べ進めるお嬢様。
「ねぇエリスちゃん。食べ過ぎは体に宜しくないよ」
そわそわしながら。
ポートマフィアの首領―――森鷗外がそわそわしながら話し掛ける。
「なんで?甘いは正義」
「そうだけど、でも……」
それでも食べ続けるエリスを止めたい気持ちでおろおろする森にエリスは鬼札を切る。
「前リンタロウが購って来た襞付きのドレス」
ヒュッ!
その単語に俊敏に反応する。
「着てあげてもいい」
「お代わり要る?」
満面の笑みで告げたエリスにサッとケーキまで出す始末だ。
「首領」
そんな和やかなやり取りにツッコミなど入れず
話し掛けるタイミングをずっと計っていた中也が漸く口を挟んだ。
右隣には退屈そうに息を吐く紬も居る。
「生存兵に依ると組合襲撃後、我々より僅かに早く現場に着いた探偵社が配下の異能者及び紅葉の姐さんを連れ帰ったとの事です。恐らくは『捕虜』として」
中也は紙の束を見ながら手短に報告を済ませる。
「姑息な連中だねぇ」
ポリ、と頬をかきながら何かを考え出す森。
「如何しましょう。我々と雖も五大幹部の一翼を人質に取られては迂闊に手が」
「……。」
森も紬も、何かを考えるように宙を見る。
「よし!探偵社の社長を殺そう」
「!」
森が名案と云わんばかりに閃いた案を口に出した。
その案に中也が驚く。
「暗殺が善いな。外部の殺し屋を使えば労力も掛からず私達は対組合に傾注出来る」
「手配します」
そう指示をすると中也は脱帽し、直ぐに行動に移った。