第6章 開戦
「あ~~~~~~~~~~~遣る気出ない」
「五月蝿ェ。せめて黙ってろ」
チッと舌打ちして紬にツッコミを入れる中也。
本当に遣る気が無いのか。
紬は中也に襟首を掴まれてズルズルと引き摺られており、歩くことすらしていない。
「大体、前情報のお陰で消されたフロント企業の移動も既に済んでいて損害なんて零だっただろうが」
いい加減、歩け。
そう云うと自身の隣に紬を置いた。
「事後処理か未然防止か。予想を天秤に掛けたら後者の方が私の仕事が減るなと思って致し方なくやっただけだよ」
「お前は本っ当に省エネだな」
「何をしても詰まらないからね。疲れるだけで」
「……。」
チラリと紬を見て、直ぐに視線を前に戻す。
「首領は?」
「エリス嬢と購い物」
「うわっ最悪。私なんて任務終了早々、こうして次の仕事に駆り出されてるのに?!」
「手前ェは付いてくるだけで何もする気無ェだろうが」
「あれ?中也、何時の間に未来予知なんて技を身に付けたの?」
「はぁー。何でこんなのが俺の相棒なんだよ」
頭を抱えてぼやく。
紬も顎に手を当ててフム、と考え始める。
「相棒辞めてみるかい?」
「冗談抜かせ。手前ェの相棒になりたいなんて云う奇抜な奴なんざ、この世に居るわけ無ェだろうが」
「募集掛けたら一人くらい居るでしょ、きっと」
「……勝手にしろ」
はぁ。
溜め息を着いてスタスタと歩く。
「つれないなぁー中也は。『これからも紬と一緒に居たい』って云ってくれても良いのに」
「阿呆か。どうせ如何転んでも手前ェのお守りは俺になんだよ」
「嬉しいくせに」
「誰がだ!」
ケラケラ笑いながら云う紬の方を振り返って大声で云う。
「そう?でも」
そのタイミングで紬はヒョイッと横側に避け、
ヒュッ!
その紬の肩に手を着いて、中也が紬の後方に向かって蹴りを繰り出す。
「があっ!」
その蹴りが綺麗に入った男が蹲る。
「息はピッタリでしょ」
「……フン」
中也は帽子を被り直すと男の傍に寄り
「ギャア!」
「未だ殺さないでよ、中也」
「判ってるっつーの」
逃げられないように手足をへし折ったのだった。