第20章 忘却
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「あーあ。疲れた」
紬が戻ってきたのはそれから数時間後だった。
腹癒せの為にとして中也に代わって殲滅案件を処理していたため午後10時を過ぎてしまっていた。
中也に借りていた部下2人が「お疲れ様でした」と紬を労う。
「中也はとっくに帰ってると思うんだけどそれでも君達は顔を出すんだろう?」
「「はい」」
「じゃあこの書類とこの書類を纏めといて。あ、後!中也の机にでも伝言を残しておいて欲しいんだけど」
「何て残しましょう?」
「『例の薬の案件、進展があったから纏めた書類を中也の部屋の何時ものところに置いておくね』って」
「承知しました」
「じゃあ私は他の仕事があるから君達も朝になる前には帰るんだよ」
「「有難うございます」」
「見送りはいいよ」と。
そう云うと紬は車から降りて本部の建物へと入っていった。
「矢っ張り太宰さんって凄い人なんだな」
「ああ。一瞬で凡てが片付いたもんな」
紬の指揮する殲滅作戦に2度目の参加となった部下たちは、改めて凄い人物なんだと感心しながら紬の姿が見えなくなるまで見送って、車を定位置に戻しに行ったのだった。