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Baby blue【気象系BL】

第10章 激しい雨の中で


【智】

2日間、翔くんちのおじさんとおばさんが、揃って出掛けてしまうことを母さんに聞いた。

潤は知らない。
俺は、潤には話さなかったんだ。


…………別に、潤から翔くんを取るつもりはない。

翔くんは潤のもの。
潤には、翔くんが必要……

そんなの…

そんなの分かってるよ!

分かってるけど、

たまには俺だって…潤に遠慮しないで、
翔くんと話したい。

たまにでいいから、俺だけを見て欲しい…


あの停電の夜の事は、俺と翔くんだけの秘密。

『潤には言わないで』って言う俺に、
『言う必要ない』と…
翔くんはそう言った。

それはどういう意味なのか?
聞きたかったけど…

怖くて聞けなかったんだ。
俺も大概意気地がなくて、
自分でも驚くほどに諦めが悪い…


何度も言うけど、
翔くんを潤から奪い取るつもりなんかない。

まあ、奪い取れるとも思ってない…

けど…


忘れられないんだ…
あの夜の事…

夢のような翔くんとの時間…

いけないって、そう思えば思う程、
より鮮明に頭の中に蘇って来て…

どうすることも出来ないんだ。

いつかは忘れる…

忘れなきゃいけないんだ。

だけど…
もう暫くだけ…

あと少しでいいから、翔くんの事…

翔くんを好きな俺でいたいんだ。

だから……


「智く~ん!こんな雨ん中、ありがとね~!
もう、俺、腹減って倒れそうだったんだよ~」

「ふふふ、翔くん、大袈裟だな~…
俺もまだ食べてないから、一緒に食べよ?」

「うん!!お湯沸かすよ♪」
「できるの~?」
「失礼な!!俺だってお湯くらい沸かせるよ!」
「ははは…」

……翔くん…


俺……

俺さ………



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