第8章 追憶の日々
「そんな顔すんなよ。大丈夫。
心配しなくても断るから…」
えっ?
断るって……
いや…ええっ??
タイプじゃなかったってこと?
それとも、他に好きな娘でもいるの?
翔くんがつねったところが、
ジンジンと疼いた。
「そんな顔しなくたって、
俺は誰とも付き合わないよ♪」
「…しょお…くん?…」
「ずっと、お前の側にいるから」
………何で?
どうしてそんなこと言うんだよ?
側にいるなんて。
そんなこと言うとさ、
俺……、俺、勝手に期待しちゃうじゃん!
俺が、翔くんのこと、
そういう目で見てるって……
わかっていってる訳じゃな……
「潤さ、俺のこと好きだよね?」
「………」
固まる俺に、翔くんは、
俺の大好きないつもの笑顔の3割増しで、
「バレてないと思ってたの?」
って。
「バレて…って、な、何が?」
「潤が、俺のこと、そういう『好き』だってこと。隠してるつもりでいたのかもしれないけど、バレバレだから♪」
嘘だろ…
「いいよ♪俺は…」
…………
「潤の気持ち、俺、いつでも
受け止める準備はできてるからさ」
「翔くん…」
し、心臓が、と、止まりそう///
「理由はわからないけど、
潤が家の中でずっと我慢してきたこと、
俺知ってるから…
支えてやりたいっていうの〜?
そんな気持ちで…」
「しょおくん!!」
気が付いたら、思いっきり
翔くんに抱きついていた。
忙しなく、
俺たちを追い越していく人々の中で、
そこだけが、違う世界を切り取って来たように、時間が止まっていた。