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Baby blue【気象系BL】

第8章 追憶の日々



翔くんの前では、
俺は家にいるよりも自然に居られた。

なぜって、
翔くんは俺をちゃんと怒ってくれた。

誉めてもくれたし、ダメなものはダメだと、
ちゃんと言ってくれた。

兄弟であるはずの、智は言ってくれないのに。

小さい頃からハキハキしてて、
頭がよくて、カッコいい翔くんのこと、

俺はいつしか好きになっていた。


初めは、そんなはずはないって、
自分が翔くんを好きだと思う気持ちは、
単に友達として、
幼馴染としての、憧れの延長なんだって。


だって、
男の俺が、男の翔くんのこと好きなんて、
そんなの普通じゃない………


だけど、違ってた。


あれは高校に入ったばかりの頃。

翔くんと一緒に帰ろうと、待ち合わせしてた。

「しょおくぅ〜ん!」

先に来ていた翔くんのところに駆け出そうとして、俺は脚を止めた。

二人連れの女の子が、翔くんに近付いて、話しかけている。

何だろうと思って、ゆっくり近付くと、
そのうちの一人が、
どうやら翔くんに告白しているらしく、
翔くんはというと、頭を掻いて照れ笑い……


………あの子、あんなに赤くなって…
翔くんのことが、好きなんだな……


胸が、ズクンと鈍く痛んだ。

この気持ちは……
この痛みは……


彼女たちが行ってしまうと、
翔くんは俺に気づいた。

「なんだよ〜、潤、来てたら声かけろよ!」

「うん……だってさ……いけないかと、思ったから…」

すると、
翔くんは少し膨れる俺の頬を、
きゅっとつねった。

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