第8章 追憶の日々
小学校のとき。
友達と下校途中につまらないことから喧嘩になったことがあった。
その時そいつが言ったんだ。
「なんだよ、お前なんか愛人の子のくせに!」
…愛人の子??
「よせよ///」
別のやつが止めに入ったけど、カッとなった俺はそいつの胸ぐらをつかんで、
「もう一回言ってみろよ!愛人の子って、誰がだよ!?」
「だってママが言ってたもん!
潤は愛人の子どもだって…」
「嘘言うな//////」
「嘘じゃない!!嘘だと思うんなら、家に帰って聞いてみろよ!!」
「……」
子どもながらにも、愛人っていうのが、
決していいものじゃないことぐらい知ってた。
だから、家に帰ったけど、母さんに聞くことなんかできなかったんだ。
知らない方がいい…
聞かない方が自分のためだ…
根拠なんかないけど、なんとなく、
そう思っていた。
……愛人の子って、俺だけ…だよな…?
そう言えば智は、どこか母さんに似てる。
でも俺は……
『忘れろ』
『気にするな』
そう思えば思う程、どしても知りたくなって…
珍しく仕事から早く帰って来た父さんと風呂に入った時、俺はついに気になっていたことを聞いてみたんだ。
「この間、クラスのヤツが、僕の事、愛人の子、って、そう言ったんだ」
サラッと…出来るだけ何でもない事みたいに言ったんだけど。
その時の父さんの驚愕した表情が、
全てを物語っていた。
「誰が…そんなこと…」
「ねえ、ホントなの?」
すると父さんは、
「潤、いつか話さないといけないと思っていたけど。
潤を産んでくれたお母さんは、もういないんだ…」
いない…?いないって…
「潤が小さいときに事故で…」
「……」
………父さんは言葉を選んで話してくれた。