• テキストサイズ

Baby blue【気象系BL】

第8章 追憶の日々


【潤】

俺は、自分の本当の母親の顔も知らない。

写真も持ってない。


小さい頃は、自分が母さんの本当の子どもじゃないなんて、考えもしなかったけど。

後から思うと、子どもながらに、違和感感じてたのかもしれない…



小学校の頃、俺たち兄弟が小さかった頃のアルバムを見ていた時のことだ。

俺は素朴な疑問を母さんにぶつけた。

「どうして僕の赤ちゃんの時の写真、1枚もないの?」

すると母さんは、

「ごめんね、…撮らなかったのかな~」
と、そう言った。

「なんで~!ズルいよ、智ばっかり…
智のはたくさんあるのに!ねえ~、どうして撮らなかったの~??」
「どうして、って…」
「ねえ~、なんで~?」

「仕方ないでしょ!ないものはないのよ」

………

俺は、それ以上何も言えなかった。

言っちゃいけないんだって、そう思った…

智は、そんな俺の事、黙って見ていた。


いつもそうやって、我儘言っても、
それ以上だダメな雰囲気を察して、止めるようにしてた。

だって、母さんが一瞬だけ、怖い顔になるから…

物心ついた頃から、俺はそうして生きて来た。


母親に甘えられないジレンマを、智にぶつけていたのかもしれない。

俺が、理不尽な我儘言っても、
智は大抵受け入れてくれた。

智のおもちゃを欲しがっても、智はいつも貸してくれた。


そんな智が大好きで……

大嫌いだった。


大好きだから、大嫌いだったんだ。

ホントは怒って欲しかったのに…



それでも、俺たちは兄弟として、それなりに
喧嘩もしたりしながら、普通に成長してきた。



そう…あの日までは…



/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp