第6章 暗闇の中で
身体を入れ替えて、俺が上になって翔くんを組み敷いた。
幸いなことに、翔くんがどんな顔をしているのか全く分からない…分からないけど。
きっと、困惑した顔してるんだろうなって思う…
だけど……
俺は、翔くんが俺を拒む気はないって、
そう信じて…
そうでも思わなきゃ、どうにかなりそうなくらいに緊張してたんだけど。
俺を押し退けようと思えばできる彼が、されるがままだということを、いいように解釈した。
ゆっくりと距離を詰める。
唇を尖らせて、ゆっくりと顔を近付けてく。
翔くんは動かない…
……いいんだよね?いっちゃうよ??
暗闇の中…
唇が触れたそこは、翔くんの鼻だった。
鼻に当たった唇を、彼が逃げないことを確認し、俺はその下へとずらした。
//////夢にまで見た……翔くんの唇…
翔くんと話す時、変に思われなように細心の注意をしながら見つめてた。
あの、赤くてポテッと肉厚で、艶々なそれが、
今ここにある…
なんて温かくて…思った通りの柔らかさなんだろう~
いや、想像以上だな、これ…
ただくっつけただけで、天にも昇りそうな俺…
すると、翔くんが、
「焦らしてるつもり?」
そう言って、俺の首を引き寄せた。
//////嘘っ!?
彼が顔の角度を変えたせいで、さっきよりも一気に密着度が増した。
翔くんの方から、
俺の唇を可愛いリップ音を立てて啄むから、
俺はもう、驚きと戸惑いと、嬉しさと愛しさと///
とにかくいろんな感情が一気に押し寄せてきて。
その隙に、翔くんが一気に俺と体勢を入れ替えた。
「…しょお…くん…」
やっと絞り出した声は、喉が詰まって、思いの外、変な声だった。