第6章 暗闇の中で
「お願い…ずっと側に…」
「智くん…」
闇が…翔くんの顔も見えない漆黒が…
いつもの俺を突き崩す…
それはいとも簡単に…
「…襲ってよ…」
「えっ?」
「襲っちゃいそうなんでしょ?だったら、襲えばいいじゃん!」
闇の中で、翔くんが息を飲むのが分かった。
もう…後には引けない。
俺は、掴んだ手首を強く引いた。
翔くんの身体が、俺の上に倒れ込む。
「ちょっ///さとしく…」
「好きだ…」
「えっ?」
「ずっと、翔くんのことが…翔くんだけが大好きだった」
言ってしまった!!
絶対に言わないでいようって…
心の奥に仕舞いこんで、絶対に言っちゃいけないって、そう決めていた言葉を…
溢れ出す気持ちを、もう抑えることが出来なくて。
俺は翔くんの身体を抱き締めた。
「お願い…俺…翔くんに…
ずっと好きだった翔くんに…
言っちゃダメだって、分かってたけど…
今だって、分かってるるけど…
でも、俺…どうしても翔くんが…」
「智くん、でも…」
「潤がいるのは知ってる…翔くんが潤を大事にしてることも…だから…今夜だけでいいから…
一回だけでいい…翔くんの思い出…
俺にもちょうだいよ…」
後になって思うと、何てこと言ったんだって思うよ。
だけど、この時の俺は、もう別の誰かが乗り移ったみたいで…
これが欲情というやつなんだって、
そう思ったのは後の事だった。
もう、夢中で…
この時を逃したら、もう翔くんとは……
そう思ったら、どうしても翔くんが欲しくて…
俺は、戸惑っている彼の首を引き寄せ、
ぶつけるように唇を奪った。