第6章 暗闇の中で
…………
…どうしよう……
心臓が、口から飛び出しそう…
俺の右側に翔くんが…
翔くんの身体がぴったりくっついていて、
今日ほど狭いシングルベッドだったことを感謝した日はない…
大嫌いな雷も、感謝し…
「わあああぁっ//////」
遠退いたと思って油断していた雷が、
また近くで轟いて。
思わず翔くんにしがみ付いちゃった。
さっきとは違って、密着したベッドの中//
しかも、脚が…
剥き出しの脚が、絡み合っちゃう訳で…
「智くん…」
遠慮がちに、翔くんの腕が、俺の背中を抱き寄せた。
「…大丈夫だよ…俺がいるから…」
「…うん……」
俺と翔くんの距離を縮めるためだけに、
またどこか近くに落ちたであろう雷は、直ぐにまた遠くで鳴っていて。
雨の音がまた激しくなった。
………翔くん…しょうくん…しょう…くん…
今、何を思ってるの?
俺の事…考えてる?
それとも…
「ねえ…智くん…」
不意に俺を抱き締めた体制のまま、翔くんが低く呟いた。
「ん?なに?」
「俺さ…やっぱ、下で寝るわ…」
「えっ?…なんで??」
「うん…だって…なんか…こんなだとさ…ヤバいじゃん」
ヤバい…ヤバいって…
それって、俺とこんなにくっついて布団の中にいるのが、嫌だって…そういうこと、なの?
「…翔くん…」
泣きそうになる…やっぱり翔くんは俺のことなんか…
「このまま、智くんと居たら俺、襲っちゃうよ?」
そう言いながら翔くんは俺の布団から出ようとした。
少し笑いながら…
離れていきそうになる体温を、
俺はその手を掴んで止めた。
「行っちゃ、ヤダ…」