第6章 暗闇の中で
「泣くなよ、智くん…」
翔くんはそう言いながら、俺の背中を優しく擦ってくれた。
初めての温もりに、俺が泣き止めるはずもなく。
俺はさっきよりも激しく、声を上げて泣いた。
泣いてしがみ付く俺を、翔くんは突き放すこともせずに、もっと背中を抱き寄せてくれた。
翔くんの大きくて体温の高い手のひらが、俺の背中を何度も何度も行ったり来たりして…
闇が……
暗闇が俺を狂わせた。
抑えつづけた気持ちが、隠し通そうと決めていた思いが、堰を切って溢れ出す。
「……き…」
「…ん?なに?…聞こえないよ~…」
「……しょう、くん…」
「智くん…一緒に寝てあげるよ」
えっ??
俺が気持ちをぶつけるその前に、翔くんはそう言った。
それって…
何を言われるのか分かって、言わせないため?
それとも…
俺の気持ちを受け入れてくれるってこと?
………
戸惑う俺を、翔くんはゆっくりベッドに座らせた。
「狭いけど、しょうがない…一緒に寝れば怖くないよね?」
「…うん…」
翔くんの気持ちが見えなくて、何を言ったらいいのか分からない俺に、
「じゃ、きついからGパン脱いでもいい?」
って。そう言うが早いか、カチャカチャとベルトを外してズボンを脱いだらしい…
「智くんは?どうする?」
「あ、うん…じゃ、俺も」
俺はシャツで翔くんはトレーナー。
下はお互いパンツだけという、何とも言い訳しにくい恰好で俺たちは布団の中に潜り込んだ。