第6章 暗闇の中で
「送ってくよ…智くんの部屋まで…」
「え、あ、うん…ありがと…」
翔くんは、再び俺に手を差し出してくれた。
こんな時だし。
俺は素直にその手をとった。
翔くんが持つ携帯のライトにぼんやりと浮かび上がった階段を、彼の手に引かれて登る。
他のどこにも灯りがなくて…
世の中の全ての明かりが消えると、こんなに真っ暗なんだって始めて知った。
でも、少し先を俺を気遣ってゆっくりと上がる翔くんが、頼もしくって…
んで、ドキドキする…
暗闇の中で、俺の心臓の音が聞こえてしまってるんじゃないかって、そう思って、またドキドキが大きくなった。
……翔くん、君は何とも思ってないんだね?
俺一人が、こんなにドキドキしてるんだね?
そう思ったらなんかさ…
なんか、
悲しいっていうより、悔しくなった。
こんな気持ちは初めてで。
いつもは、こんなのダメだってそう思って、自分の気持ちに蓋をしている…
だけど…
俺だって///
気持ちが溢れ出しそうで……
涙が零れた。
漆黒の闇が、俺の気持ちも溢れた涙も隠してくれる…
俺は、泣いてることを翔くんにばれない様に、
しゃくらないように、すすらないように、
凄い気を付けて歩いた。
なのに…
部屋について、先につま先がベッドに着いた翔くんが、お手の手を引き寄せて言った。
「智くん…泣くほど怖いの?」
って……
なんだよ///
バレてんじゃん…
俺は我慢していたのを思いっきりしゃくりあげた。
すると翔くんは、俺の身体をすっぽりと抱き締めてくれた。
翔くん//////