第23章 Gravitation~引力~
レースのカーテンから差し込む
冬とは思えないような暖かい日差しに
俺は布団の端を引き上げた
………眩しくて、目蓋が開かないよ…
もう暫くだけ、こうしていたいんだ
………
……
「…翔…くん…起き、て…」
鼓膜を揺らす、耳慣れた優しい響き
「……んんっ…」
もうちょっとだけ…
後5分だけでいいから…
眩しい光から逃げようと、布団を引き上げたその時、それは反対からの強い力で引っ張られ、
俺はあっという間にベッドに剥き出しのまま晒された
「寒っ///」
「今日はドライブするって、翔が決めたんだけど~?」
ドライブ…?
そうだった
海を見に行こうって
じゅんと約束したんだ
のろのろと起き出して気付く…
あ…裸だった俺…
夕べそのまま寝ちゃったんだ
「朝から、なかなか刺激的な眺めだね~♡」
もう~、仕方ないだろ~?
じゅんが布団剥いだから…
………あ、そう言えば…
「ねえ、じゅん……さっき、俺のことさ、翔くんって…そう呼んだ?」
徐々に覚醒してくる頭の中に浮んだ大きな違和感の正体…それを知りたくて…
「え~?そんなこと言ったかな~?」
「言ったよ!そう言えば、夕べだって!」
「さあ~?覚えてないよ…それより、早く着替えて!それとも、また俺のこと誘ってるの~?」
「さっ、誘ってないから!!」
股間を両手で押さえて、大急ぎで風呂場に逃げ込む俺の背中に、じゅんの笑い声が聞こえた
……言った!…絶対に、翔くん、って///
熱いシャワーを頭から掛けながら
じゅんの言葉を思い出していた
『翔くん』
『しょうくん』
俺を呼ぶ、優しい響き…
幻なんかじゃない…
夢なんかじゃない…
あれは確かに
潤だった………