第23章 Gravitation~引力~
不思議な感覚と、僅かな違和感に首を傾げながらも、身体を綺麗にして、湯船に浸かった
じゅんの好きな岩塩の入浴剤
身体の芯から温まるって、じゅんは言うけど、
汗が凄いんだよね、これ…
いい匂いだし、温まるけれども…
折角お風呂入って綺麗になっても、汗がなかなか引かないし…
何て言うか…また汗臭くなっちゃうじゃん…
そうはいっても、俺も嫌いじゃないからね?
よく浸かって、十分発汗してから出た
リビングに戻ると、じゅんはソファーに凭れてうたた寝をしていた
「あ~、もう、風邪引いちゃうじゃん…」
パジャマはちゃんと着てくれてはいたけれど…
肩を揺らして起こそうとして、
ふとじゅんの寝顔を見た
……ああ、なんか、可愛い…
寝ているせいかな?
いつもの精悍さが消えて、
なんだかあどけない…っていうか、
なんかさ……
「……ん〜…しょお…くん…」
………えっ??
今、
何て、言った?
夢の中で、俺のこと……
翔くんって、
しょおくんって、そう言ったよね?
じゅんは、俺のことを『翔くん』とは呼ばない……そう呼ぶのは……
…よぶのは……
………
「……潤…?…」
眠る綺麗な横顔に
小さく声を掛けた
じゅんは目覚めない
「潤…」
さっきよりも大きな声でそう呼んだ
すると、長い睫毛を重そうに持ち上げ、
大きな瞳が真っ直ぐに俺を捉えた
「……しょお、くん?」
うっ、嘘だろ!?