第23章 Gravitation~引力~
【翔】
久しぶりに、じゅんと肩を並べて夜の街を歩いた
この頃、家でご飯が多かったからな~
「たまには外でご飯でも食べようか~?」
「え~?今日はもう、帰ったらご飯焚けるし…」
「ふふふ、じゅん、すっかり主婦みたい~」
「それ褒め言葉だよな?
だってさ、家で食べた方が落ち着くし…」
落ち着くし…って…
昔渋谷のclubで帝王みたいだった人の言葉とも思えないよ
昔の仲間…ニノや雅紀が見たら、
何て言うかな…?
キッチンで、計量カップやキッチンバサミを巧みに操る彼を思い出してちょっと笑った
AsteriskのときのJとのギャップが大き過ぎて…
「じゅん…見て…綺麗だよ…上限の月」
空には半分だけの月が…静かにかかっていた
「よく覚えてたじゃん…」
「うん…じゅんのせいで、俺も月の呼び名に詳しくなったよ…」
「せいで、じゃなくて、お陰、だよね?」
「ふふふ、まあ、そうだけど…」
じゅんと一緒に暮らすようになって、
もう直ぐ半年になる
始めは、じゅんが仕事を止めることも、
日本に帰って来て一緒に暮らすっていうことにも、
戸惑ったし、正直反対だった
今までじゅんが頑張って来たものを全て捨てるっていうことに、俺は賛成できなかった
俺のために…って…
でも、じゅんは何の躊躇いも無く、それまでの全部を捨て、俺の元に帰って来てくれた
まさか……
こんな日が来るなんて、夢にも思っていなかった
また、じゅんと一緒に生きていけるなんて…
「翔!今夜は生姜焼きだよ!早く帰ろう~」
じゅんが俺の手を握って走り出した
「じゃ、俺も手伝う!」
「…翔は、お皿、並べてくれればいいよ~」
ちぇっ…信用無いな~…
昔よりは大分…まあ、少しは出来る様になったのに
じゅんには、全然敵わないけど…