第23章 Gravitation~引力~
「ほのか…えっと、この人はさ…」
「だって翔、って、顔もすごく綺麗だけど、心も綺麗…でしょ?だから、じゅん…この人だよね…」
「ほのか……」
びっくりした…
今初めて話した翔のこと、心が綺麗だなんて…
「ねえ~、翔!じゅんのこと、好き?」
いつの間にか、ほのかは翔の腕に纏わりつき、とんでもないことを聞いている
「ちょっ、ほの…」
「ん~?好きだよ…世界中の誰よりも、じゅんが一番大好きだよ♡」
………翔…
彼の真っ直ぐな言葉に、
俺に向かって言った訳でもないのに、
顔が熱くなった
「じゅんも、世界で一番翔が好きって!だから同じだね♪」
「ほんと?じゅんがそう言ったの~?」
「うん、言ったよ~、ね!」
ねって、急にステージのセンターに立たされた俺は、答えを用意してなくて、あたふたしてしまった
「あ、えっ、いや、その…」
「じゅんったら、恥ずかしいの~?可愛い~」
「えっ?かわい…って、ほのか!俺のこと、揶揄ってんだろ~!こらっ///」
ほのかと戯れ合う俺を、側で翔が笑って見てる
こういうのも、悪くない…よね?
俺たちは、どんなに愛し合っていても、
こんな風に子どもを間に挟んで笑い合うっていう、そんな幸せは手に入らない…
でも……
翔がいれば…
俺には世界中でたったひとり、
翔さえいてくれれば、他には何もいらない…
そんなこと、照れくさくって言えないけどね…
店で翔が選んだチョコクリームとチーズスフレは、麻衣さんが奢ってくれた
小さなケーキの箱をぶら下げ、
夕暮れ時の商店街を、二人で肩を並べて歩いた
……なんだか、凄く、幸せだった