第23章 Gravitation~引力~
「じゅんと保育園行けてよかった♡」
「なんで、俺と行きたいの?」
「だって、じゅんのこと、カッコいいって、りなちゃんも、さえちゃんも、みんなが言うんだもん!」
「ふ~ん…」
保育園といっても、女の子はもう女子なんだ…
「でも、じゅんと結婚するのは、ほのかだよ!ってみんなに言ってるの!」
「あ~…そっかぁ~」
「ダメなの??」
さて、どうしたもんかな~?
大きくなったらね…って、そう言っておけばいいんだろうけど…
こんな小さい子、直ぐに忘れちゃうんだろうし…
「…ごめんな…俺さ、もう世界で一番大切な人がいるから…ほのかとは結婚できないんだ…」
「え~!!酷いよ~」
「ほのかには、俺なんかより、もっと素敵な王子様が現れるさ~」
「…王子様なんて、ほんとはいないんだよ?」
ああ、まあ、そうだよな…
俺は、現実主義な5歳児に、苦笑いするしかない
「あのさ~、じゅんの大切な人って、綺麗な人?」
「うん…凄く綺麗だよ…顔だけじゃなくてさ、心もとっても綺麗なんだ…」
あ…保育園児相手に、俺、何言ってんだ///
自分で言って、何だか照れる
「だからさ、ほのかも心の綺麗な人になるんだよ」
「…うん……分かった!心の綺麗な人になったら、きっと、ほのかにも王子様が来てくれるよね!」
………なんて、ピュアで、可愛いんだ♡
普段生意気なこと言ってるけど、やっぱまだ5歳…
「じゃあ、保育園に着くまでの間、ぎゅう~ってしててもいいでしょ?」
「…うん、いいよ…」
保育園までの短い道のり、
俺は5歳の女の子の可愛い手に抱き締められていた
翔…これは、浮気じゃないだろう~?