第23章 Gravitation~引力~
【Jun】
「じゅ~ん、俺もう行くからね!」
「…う~ん…いってら~…」
「ちゃんと起きてよ!じゃ///」
バタバタと玄関で翔が出かける音がしていた
出掛けたと思ったのに、また足音が廊下を戻って来て、
(忘れ物かな?)
すると寝室のドアが大きく開いて、翔が大股で近付いてくる気配がして…
ちゅっっ♡
柔らかい唇が降りてきた
ゆっくりと目蓋を押し上げると、にっこりと笑った愛しい人のドアップ……近過ぎて、見キレてるし…
「…おはようのあいさつ、忘れてたから…」
「……んふふ…おはよ、翔♡」
「ホントお前、朝、弱いよな~」
「だって、夕べ翔が全然寝かしてくんないから…」
「あああ!いーの!そんなこと言わなくって!」
赤くなる翔が可愛くて…つい揶揄ってみたくなる
いくつになっても、こういうとこ、ホントに変わんない…
「だいたい、もう一回って最後に言ったの、じゅんでしょ?俺だけのせいにしないでよね~」
「まあ、いいけどさ…いいの?翔、時間…」
「ああ!ヤバい、電車一本乗り遅れたかな~?
全く~、じゅんのせいだからね~!
じゃ、いってきます!!」
「いってらっしゃ~い♡」
慌ただしく出ていく翔の背中を見送って、俺はベッドの中で大きく伸びをした
「はあぁ~…よく寝た…起きよっかな」
リビングに行くと翔が作ってくれたらしい、
おにぎりが2個並んでいた
その不格好な二つが寄り添って並ぶ景色に
思わず一人笑みが漏れた
「いつまでたっても、不器用だな~…」