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Baby blue【気象系BL】

第23章 Gravitation~引力~




そろそろかな?
そう思った俺は、トイレに行くついでに会計を済ませてしまおうとレジに立った

その時、


「翔」



「……J…」




店の入り口から入ってきたばかりのJは、俺に向かって真っすぐに歩いて来た

俺は慌てて踵を返しその場から逃げ出そうとした

「待って!」

すかさずJは逃げる俺を追いかけ、手首を掴んで引き留めた

「どうして逃げるの?」
「どうして、って…」

「待ってたのに!」

…待ってた…って…

「ずっと待ってた!翔が電話くれるの」

「嘘だよ!」
「嘘じゃない!!」


通路で、急に言い合いを始めた二人の男に、『何事か?』と個室から顔を出した人もいて…

店の人も、注意した方がいいかと様子をうかがっているのが分かった

「場所を変えよう…」

Jは俺を引っ張って行こうとして、俺はそれを振り解いた


……もう、傷つくのは嫌だ…

「離して、俺、行けない…」
「なんで?」


「兄貴!!」

いつまでも戻ってこないのを心配した風磨が、俺たちの言い争いを見て、慌ててJから俺を引き離した

「嫌がってるじゃないですか!」

風磨がまっすぐにJを睨む

「嫌がってる?…翔、嫌…なの?」

俺は黙って俯いた


後から他のメンバーも出てきて、俺はその流れに押されるように入口へと向かう

「翔!!待ってるから…この前の公園で…」

「……」

「ずっと!翔が来てくれるまで、ずっと待ってるから!」


後ろ髪を引かれる思いを隠して、後輩たちと店を出た


J……もう、俺は……


断わり切れないまま、みんなでカラオケに来た

当然、歌う気にはとてもなれないけど、ひとりでマンションに帰る気にもならず、2次会については来たけど……


『…ずっと、待ってる…』


Jの言葉が、頭の中でリフレインした

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