第23章 Gravitation~引力~
こんな女優さん居たよな?
っていうくらいの綺麗な女性は、俺に気付かないかのように、Jに飛び付いて腕を絡めた
…連れが、いたんだ…
「アメリア…He is my old… friend,Sho」
「Oh!!Nice to meet you Sho!」
「Nice to meet you too,Amelia…」
………
通り一遍の挨拶を交わし、簡単に自己紹介をした俺と彼女
3人で在り来たりな、どうでもいい会話をした
どうやら、Jは彼女の用事が済むのを待っていたらしい
そして、この後一緒にホテルに戻るという
彼女の肩を抱き俺から離れて歩き出したJは、そのまま行ってしまうのかと思ったら、急に忘れ物をしたみたいに戻って来た
「翔、ごめん…俺行かなきゃ…」
「あ、うん…」
「絶対、連絡して!」
そう言ってJは、俺のコートのポケットに何かを捻じ込んだ
「Jun~?」
「I'm comeing now(今行く)…」
Jはそのまま、俺に軽く手を上げて、
アメリアの肩を抱いて行ってしまった
………そうだよな…
あれから、何年経ったと思ってるんだよ
ずっと変わらない筈なんてないじゃん…
素敵な人がいて当たり前だ…
それに……それにJは、俺のこと
『友人』だって、彼女に紹介してた…
……当たり前か…
再会に、勝手に盛り上がって、大泣きして
これは運命なんじゃないか…?
なんて思ったりして……
「バカだな…俺も…」
………十六夜の月を見上げた俺の目からは、
一筋の涙が零れて落ちた