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Baby blue【気象系BL】

第23章 Gravitation~引力~




「…『いざよい』っていうのは、ためらうという意味がある『いさよう』から出たって言われてる…

満月より、僅かだけど月の出が遅れるから、それを『月の出をためらう月』と考えたのかもしれないね~

昔の人って、ロマンチストだったんだね…」


……涙が……溢れる

喉が…張り付いて、声が出ない…


嘘だっ///

だって、こんなこと…
こんなことが、ある訳……


「…翔…」


その人は、俺の名を呼んだ


何度も夢に見た

何度も思い出しては胸の奥に押し込んだ

忘れたくても
忘れられなかった

大好きな人の…声……


……なんで??

どんなに逢いたいと願っても、決して叶わなかったのに…



「……翔…会いたかった…」



……J…



優しく響くその声は、紛れもない

会いたくて

でも会えない…
会っちゃいけない…


俺たちは別れたんだ

別々の道を歩くと決め

もう二度と交わることはないと…

そう納得して離れたけど


忘れたことなんかない

思い出さない日なんかなかった


会いたくて
会いたくて

いけないと分かっていても

一目でいいから、その姿だけでも見たいって


何年も、
ずっとずっと
願って、祈って、

それでも叶わなかったのに……


「…翔、来いよ…」

月灯りの中、Jが俺に向けて両手を広げた



「J//////」


その中へ……

引き寄せられるように、
俺のために開かれたその腕の中へと飛び込んだ


そう…
ちょうど引力に引き付けられるかのように


「…J……J…」


泣きじゃくる俺を包む懐かしい場所…

何度も夢に見たその胸は、
変わらずそこにあった


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