第22章 forget me not~忘れないで~
「ひとりにしちゃって、ごめん…」
ベッドに座る俺に、ゆっくりと近付いて、肩を抱き寄せてくれた翔が、静かに言う
聞き慣れた、低めの優しい響き…
「俺、Jに会いたくてさ〜、何度もAsteriskに通っちゃったよ…」
「…ごめん…」
「雅紀もニノも、心配してた…」
俺の肩を抱く、力強い翔の手は温かい…
翔……
いつの間に、こんなに強くなった?
雅紀と一緒にAsteriskに初めて来たときは、
おどおどしてて、キョドってて…
潤といる時の翔とは、少し違ってた
何がって、上手く例えられないけど…
俺の顔を見て、凄く驚いた顔をしていたのに、
直ぐに『潤』とは呼んでこなかった…
雅紀が、『凄いイケメンで超優秀な友達が出来た』って自慢していた。
連れてくるからって張り切ってたのが、まさか翔だったなんて…
想像すらしてなかったから、
一瞬息が止まったけど、それを悟られないように、知らない振りをしたんだ
今から思うと、
潤として、
翔に抱かれる悦びに溺れる中で、心のどこかで、翔をめちゃくちゃにしたい…
そんな気持ちがあったのかもしれない
自分でも気づかないうちに、世の中の、綺麗な部分しか見ずに育ってきたような翔に…
俺は嫉妬していたんじゃないか?
そんな俺の願いが悪魔に届いて、翔を雅紀が連れてきたんじゃないかな…
だから、運命の悪戯というよりは、悪魔に魂を売り渡した俺の、最大にして最悪の贈り物……
だから俺は……
潤がいなくなってしまったら、
翔を解放してやらなきゃいけない……
そう思ったんだ
俺なんかに、いつまでも翔を縛っておいちゃいけない
そうだろう??