第22章 forget me not~忘れないで~
【J】
翔が来た…
いずみさんのところに身を寄せていた俺に会いに…
自分と向き合いながら一人過ごす時間は、
孤独で、気が狂いそうに淋しかった
だから……
素直に嬉しかった
会いたかった…
ひとりでいる暗闇の時も、思い出すのは翔の眩しい笑顔ばかりで…
会いたい……
会いたいよ…翔…
そっと呟くと涙が浮かんだ
だけど、泣く訳にはいかない
潤はもっと辛いんだから…
俺の弱さが潤を産んだ
俺がもっと強い人間だったなら、
こんなことにならなかったし、潤も悲しい思いをしなくて済んだ…
全ては俺のせいだから…
『どうして俺を避けるの?』
『俺の前から、逃げたりしないで』
翔がそう力強く言ってくれた
俺の罪を許し、運命を全て、共に受け入れようとしてくれている
俺は弱い…弱いから逃げた
『逃げないで』
翔の言葉が胸を打つ
ここで、こうしていても何の解決にもならないってこと…分かっていたけど
どうしてたらいいのか分からなくなってしまい…
出口のない迷路に迷い込んでしまったみたいに
光を求めて、彷徨い歩く日々…
翔が、光をくれるのか??
「…翔…もう直ぐ、潤は消える…それでも…それでも、お前…」
「J…潤は……Jだろ?消えてしまう訳じゃない!
潤が死んでしまう訳じゃない…」
……翔…
「潤という人間はいなくなるのかもしれない、でも…
Jがいるじゃん…治らない病で死んでしまう訳じゃない…
Jの中にも…きっと潤はいる!俺はそう思う」
…………
翔……
澄んだ迷いのない大きな瞳で
俺を見つめるその顔は…
…翔………
何も考えずに、今までの全てを忘れて、
飛び込んでしまえたら…
どんなにか…
よかったのに……