第22章 forget me not~忘れないで~
夕方の混雑した電車の中
俺は窓ガラスに映った自分を見ていた
これから……
どうなるんだろう?
俺たちは…
いや、違うな
潤とJは…どうなってしまうんだろう?
運命が、
大きなうねりとなって俺たちを飲み込んでいく…
逃れることは出来ない
何度覚悟しても、
心の中で『でも』と『だけど』を繰り返している
J…お前はどうして…
今、何を思ってるの?
いずみさんの住むマンションに着き、
インターホンを押すと、少ししてロックが解除された
躊躇うことなく、彼女の部屋の階のボタンを押した
ドアの前に立つと、そのタイミングで中からドアが開き、いずみさんが顔を出した
「おじゃ…」
挨拶しようとした瞬間、彼女が人差し指を立てて口元に持って行き、中に入れと手招いた
不審に思いながらも、言われるままにドアの中に身体を滑り込ませると、
Jが使っている部屋の方を向いてから
「邪魔しないから、ゆっくり話せばいいわ…」
小声でそう言ういずみさんは、出掛ける格好をしていた
「…あの…」
「今夜は泊まって来るから、気にしないでいいわよ」
えっ??
「私が出たら、鍵、掛けてね」
驚いている俺に、いずみさんはにっこりと微笑んでから、肩に手を置いて出ていってしまった
今夜は帰って来ないって…
デート…かな?
それとも、俺たちに気を使ってくれた…とか?
いずみさんが出掛けたドアに鍵をかけ、
Jの部屋のドアを見つめた
いる…のかな?
……いる…んだろう…
でなきゃ、いずみさんの行動に説明がつかない
………よし!
覚悟を決めて、ドアの前に立った俺は、
「J…入るよ」
と、返事を待たずにノブを回した