第22章 forget me not~忘れないで~
【翔】
潤が泣くんだ……
愛してると…
俺はどうすることもできないんだ
ただ…
精一杯の思いを込めて、
潤を抱くことしか…
身体を繋げ、潤を愛していると、
愛しているのは潤だけなんだと…
そう身体中で叫ぶしかできない
「…っつ…うっ…くっ…」
俺の下で、潤が声を殺して泣く…
肩を震わせて、
俺の胸に顔を埋めて…
「潤…じゅん…」
「…っん…」
抱き締めていれば……
このままずっと腕の中に閉じ込めておけば、
潤はずっと俺の側にいてくれるのか
何度も、思いは進んでは戻る
『これでいい…』
『何とかしたい』
『そんなに悪い結末じゃない』
『このまま潤と逃げてしまおうか』
潤のことを、ちゃんと見守って
受け止めてあげなきゃいけないのに
俺は、なんて、弱い……
「潤…もう…泣くな…」
「…ううっ…ぅぅ…」
「…じゅん…中、綺麗に、しないと…」
「……」
何度も首を振る潤の背中に回した手に
力を込めた
大丈夫だ…と
俺が付いてるから…と
言葉にならない想いが溢れて
頬を伝う
誰か教えてくれよ…
俺はどうすればいいのか?
俺には何が出来るのか?
繰り返し繰り返し、何千回も、何万回も、
繰り返された自問自答…
J……
何を思ってる?
こんな潤の姿を、お前はどう感じてる?
この頃、Jは俺の前に現れなくなっていた
潤じゃない時間が増えているってことは
Jがいるはずなのに…
俺を避けているのは、明らかだった
こうしている今も、
Jはきっと俺たちを見てる……
J………
何を思ってる?
泣いている潤の後ろで、
もしかしたらお前は
傷付いているんじゃないのか……