第22章 forget me not~忘れないで~
『親が出掛けたんだけど
来る?』
翔くんからのLINEで、
俺は、急いで櫻井家を訪問した
一応チャイムを押してから、ドアを開けると、翔くんが玄関で出迎えてくれた
「いらっしゃい、早いな…」
「…お邪魔しま〜す」
玄関で靴を脱いで片脚を上げたところで、
不意に翔くんに腕を引かれてバランスを崩した
「あっ…」
気が付けば、翔くんの腕の中…
「潤、よかった…いてくれて…」
「うん…」
この頃、自分でも自覚していた
確実にJになっている時間が長くなっていること
翔くんも分かってたんだ
もしかしたら、JがJのままで、家にいるっていうことも、あるんじゃないかって…
そう思っていた
そして…そうなると、俺は…
「髪…」
「ん?」
「…まだ濡れてる…」
「……」
なんだか、直ぐに抱かれたくて飛んできたみたいじゃん、俺…恥ずかしい…
すると、翔くんは、そんな俺の髪に鼻を埋めたまま、
「俺も同じ…早く潤を抱きたかった…」
そう言ってくれた
「…翔くん…」
「2階、行こ♡」
「…うん…」
翔くんの力強い腕が俺の腰に回り、そのまま身体を密着させて階段を上がる
翔くんの体温を感じて、心拍数が跳ねあがる
翔くんの部屋は温かくて、
机の脇のライトが付いているだけで…
音のない部屋には、サイドテーブルの上の加湿器だけが、静かに白い湯気を吐き出していた
……翔くんのヤル気満々感を感じて、頬が熱くなる
「飲む?」
サイドテーブルには、缶酎ハイが二缶…
「うん…」
「じゃあ、グレープフルーツと白ブドウ…どっちがいい?」
「…どっちでもいいよ。翔くんが先に決めて~」
「じゃあさ、一緒に指差して、被ったらじゃんけんは~?」
「ふふふ…いいよ♪」
「よし!じゃあ~、せ~の…これ!!」
予想通り、しっかり白ブドウで被った