第22章 forget me not~忘れないで~
【潤】
「潤〜、午後出掛ける〜?」
智と並んで昼飯を食べていると、母さんがそう聞いてきた
「特に何もないよ〜何で?」
「洋服買いたいんだけど、潤に選んでほしいと思って♪」
「ああ、いいけど…智は〜?」
俺だけじゃなくて、ここに智もいるし…
「だって、潤の方がセンスいいじゃない。智だと黒っぽいものばっかり選ぶでしょ〜?」
母さんの言葉に智をみると、
智はおどけたように、少し肩をすくめて見せた
「行ってくれば?俺は昼寝してるし…」
「なんでだよ、智も行こうよ!」
「いいってば、二人で行って来いよ〜」
智はそう言ったけど、俺は母さんにも3人で行きたいと繰り返した
「じゃあ、3人で行きましょ?智もいいよね〜?」
ええ〜、と迷惑そうな顔してるけど、内心はそうでもないこと、俺には分かっていた
「じゃ、決まりね!あなたたちも、欲しい服とかあったら、買ってあげるわ〜
それと〜、帰りにレストランでパフェ食べてこよっか♪」
パフェってさ……
母さん、俺たちいくつになったと思ってんだよ…
半分呆れながらも、嬉しそうな母さんを見ていると、反論する気にもなれず。
俺たちは20分後に、玄関に集合した
「確かに、黒いな…」
上も下も黒を着た智を見て呟いた俺に、
「潤は派手過ぎじゃね?」
と笑った
ホントに……
こんな風に3人で出掛けるのは、
何年ぶりかなぁ〜
照れくさいけど、内心はなんだか嬉しかった
智を見たら、智の横顔も、何となく幸せそうで。
そんな智と、はしゃぐ母さんを見ていると、これが、俺が欲しかった『家族』ってものなのかな?って、そんな気がした