• テキストサイズ

Baby blue【気象系BL】

第22章 forget me not~忘れないで~




「智くんの気持ちは痛いほどわかるよ…兄としては当然のことだろう…だけどね…」

俺たちは先生をじっと見つめた

正確には、先生が次に何を言うのか…
何か重要なことを言うんじゃないかって…

そんな気がして…


東山先生は、俺たちふたりの視線をガッチリと受け止めながら、ゆっくりと紅茶を啜った

「う~ん…やっぱりこのジンジャーティーには、僅か、はちみつを垂らすのが有効だな~…」

「先生!!」


ゆっくりと、東山先生は智くんを見て、
それからそのまま視線を俺に移した


「君たちは、結果を決め付けているけれど、案外そう悪くないかもしれない…そうは思わないか?」

…悪くない……?


潤が…

潤が、いなくなるのに…

悪くない……って…


そんなこと考えたことも無かった

潤が消えてしまうんだと、
Jと潤とが元の姿に戻り、潤という人格がいなくなる…

その事実ばかりに捕らわれていて、
恐怖を覚えていた


「翔くん、智くん、結果を受け止めて欲しいんだ…
受けとめた上で、受け入れて欲しい」

「…うけ、いれる…」

「そう…思ってたよりもいいかもしれないし、そうじゃないかもしれない…
でも、ちゃんと受け止めてやって欲しいんだ」


智くんは、もう何も言わなかった

俺も、黙って東山先生を見つめていた

いつも間に来たのか、丸まって寝ていたはずのつよしが、智くんの足元に来て纏わりついていた


黙ってそれを抱き上げた智くん……

つよしも、嫌がるわけでもなく、
智くんの胸に抱かれ、身を任せている

もしかしたら、
俺たちの気持ちが分かっていたのかもしれない…


そんな気がした


夕暮れ時の神楽坂…
病院を出た俺たちは、
話す言葉も無く、並んで歩いていた


………


「ねえ、翔くん…ここ、寄ってこうか?」


智くんが指差す先には、立派な神社があった

/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp