第22章 forget me not~忘れないで~
「よく一人で頑張った!」
「ぐっ、ううううぅ……わぁあああぁっ//////」
先生が席を立って、俺の肩をそっと抱き締めてくれたから、
俺は堪えていたものが、堰を切ったように溢れ出し、
声を上げて泣いた
本当はずっと後悔していた
潤をこの病院に連れてきたこと
潤が、別の人格を作り上げてまで耐えていたことを知って、何とかしてやりたくて…
勝手にお膳立てして、
美穂さんも、智くんも、
…Jも、みんなを巻き込んで、
もう後戻りできないって思った時
俺はもう後悔しかなかった
だけどそれを口にする訳にないかなくて…
『張本人のお前が、今更そんなことを言うつもりなのか?』
心の中で、その言葉がずっとリピートしてた
きっと誰かに、
言って欲しかったんだろう
『お前のせいじゃないよ…』
『お前は間違えてないんだよ』
『何深刻になってんだよ』
『なるようにしか、ならないさ』
誰かに、
そう言って欲しかった…
自分の犯した、愚かな罪から
逃げられるはずなんてないのに
……逃げ出したかった…
顔を、背けたかった
「翔くん…たくさん泣いていいよ…
ひとりでずっと頑張ってたんだ
苦しかったんだろう…
もっと早く、ここに来るんじゃないかって、
そう思ってたのにさ…ずいぶん一人で頑張って…」
「…うううぅ…あああぁぁぁっ…んぁあっ…あ゛あ゛っ…」
どの位そうしていたんだろう……
来客を告げるインターフォンの音で現実に引き戻された
「……すみません…先生、出てください」
「ああ、悪いね…予約はないんだけど…」
東山先生は、俺に微笑みかけて頷いてから、
診察室を出て行った