第21章 その先に見える景色
智くんをここに連れてきたことは失敗だったかも…
そう思い始めていた時、
「ニノくんは…Jって知ってる?」
智くんは、Jの名前を出した。
「智くん…Jを知ってるの?」
雅紀が、急に眉を顰めた。
ダメだ!!
ここの連中は、Jの秘密は知らないんだ…
話題を変えないと///
「それよりさ、この間の…」
「翔、来てたんだ~♪」
その時だ。
Jが現れた…
Jは真っ直ぐに俺を…俺だけを見つめながら、歩いて来て、ボックスシートの前で止まった。
ゴクリッ…
思わず、俺の喉が鳴った。
智くんを…Jは智くんに気付いて、何て…?
Jは俺の隣に入ってこようとして、隣に座っている智くんに気付いた。
じっと見つめている…
智くんも、驚いたような顔でJを見ている
すると、先に視線をそらせたのはJ…
反らせたというより、俺の方に視線を向けた、と言う方が正しいだろう…なぜって。
「翔、早速だけど、VIP行こうぜ~♪
俺、溜まってんだよ~♡」
そう言ってウインクした。
それを聞いていた周りの仲間が、わやわやと冷やかし、下卑た言葉が飛んだ。
「なっ///何言ってんだよ…」
顔が熱くなる俺…
今日は、そんなことしに来たんじゃ…
「どっか行くなら、俺も行っていいかな?」
えっ…!?
みんなは智くんの発言に一瞬静まり返り、その後、大騒ぎになった。
そりゃ、そうだ。
VIPに行くっていうことは、つまりは『こういうこと』をするということで、そこに付いて行くということは、その仲間に入るという…
「J!丁度良かったな!!溜まってたんなら、一気に二人、いけるじゃん~」
「智く~ん、積極的ね~」
囃し立てる周囲を気にする風も無く、智くんは真っ直ぐにJを見つめている…
智くん……
君は、何を……