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Baby blue【気象系BL】

第21章 その先に見える景色




「あの〜…、確認だけど。
Jって、誰か、分かってるよね?」

小さい子どもに確認するような翔くんの目に、俺はちょっとイラッとして答えた。

「はあ〜?分かってるよ!そんなの」
「じゃあ、会いたい、っていうのは…」

だって、翔くんはいつも会ってるんでしょ?
Jと…会って、その、ほら…

「…会ってどうするの?」

訝しげな顔で翔くんが首を傾げた。

「会ってさ!……会って、話したいんだ。Jは、どう思っているのか…、潤のこと、とか、その〜…」

「言っとくけど、Jは潤とは別人だよ?」
「別…人……?」

別人??
だって、潤…なんだよね?Jって…

「あ、ごめん。別人っていうか、人格が別ってことで…」

それは分かってる。
俺も一応、母ちゃんの話だけじゃ分からないから、
ネットとかで調べたから…

「会ってみればわかるけど、そっくりだけど、違う人に見えるんだよ…だから、別人…」

「……別人か…」


智くんが会ってみたいっていうなら、一緒に『Asterisk』に行ってもいい、と…

Jに会ってみると俺が言ってることが分かるよ…
翔くんはそう言った。


J……どんな人なんだろう?
違う人に見える、同じ人…潤…



その週末、翔くんと一緒に『Asterisk』に行くことになった。

渋谷駅で待ち合わせた俺たちは、人込みを縫うように歩いた。

本当なら嬉しいはずの翔くんとのお出掛けだけど、
今日はそんな気分になれるはずもなくて…

俺はただ、翔くんの隣を、黙ったまま黙々と歩いた。


「ここだよ」
「ここ…?」

その店は、渋谷のセンター街から、何本も入った裏通りにあった。

俺が、普通に生きていたら、絶対入ることなんかなかっただろう…

「入ろう…」
「…うん…」

俺は、大きく深呼吸してから、翔くんの後に続いた。

心臓が、早鐘のごとく鳴り響いていた。

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