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Baby blue【気象系BL】

第21章 その先に見える景色


【智】

母ちゃんはあんな風に言ったけど。

最近の潤を見てるとさ。

そんな簡単なことじゃないって、
バカな俺にでも分かった。

俺は、Jっていう人に会ったことがない。

もしかしたら、家の中で会っていたのかもしれないけど、潤だって思ってたから…


………会って話したい

Jにとっても、俺が兄ならば、
このまま知らん顔してるなんてできない。

その気持ちは募るけど。
まさか、潤に向かって、
Jと話したい何て言うこともできないし。

そんなことを思って、悶々としていたある日。帰りの電車で、偶然翔くんと一緒になった。

同じ駅の改札を出る関係で、
当然のように、同じ車両に乗っていた俺たちは、ホームでばったり顔を会わせた。

「あ…」
「あ、智くん…今帰り〜?」
「う、うん。翔くんも?」
「そう。今日バイトないんだ…」
「そっか……」

何だか、俺、不思議なくらい緊張してる

「じゃ、帰ろっか…」
「うん…」


肩を並べて歩く家までの道……


少し前までの俺なら、
こんな偶然、嬉しくてにやけてたよな〜

だけど、今は………


「あのさ」
「智くんさ」

思わず重なってしまい、お互い焦った。

「いいよ、先どうぞ!」
「いいって、翔くんから先言ってよ!」
「いや、大したことじゃないから、俺」
「俺だって……」

……いや。
俺は、大したことか?
…そうだよな。
ここで会ったのも、そーいうこと…かもしれないよな…

「あのさ。」
「うん…」
「俺、Jって人に会ってみたいんだ」
「え…」

思わず立ち止まった翔くんに、俺も止まって彼を見た。

翔くんは、大きな目を、もっとまん丸にして俺を見ていた。

「翔くんなら、会わせてくれるかな?って、思って…俺……」

翔くんは、黙って何か考えていたけど、漸く口を開いた言葉は…


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