第20章 君をずっと思ってる
【翔】
急用ができて行けなくなったからって、
友達がホテルのコテージの宿泊を譲ってくれた。
『彼女と行って来いよ』って。
俺は直ぐに潤にLINEした。
一緒に行くなんて、潤しかいないじゃん、実際
そうして実現した軽井沢一泊旅行。
あんまり燥いでるのもどうかな?って思ったけど、
楽しそうな潤を見てると、俺も自然と笑顔になる。
途中のサービスエリアに入ってトイレ休憩。
「潤、小腹空かね~?」
「あ~、そう言えば…なんか食べよっか」
俺たちはそれぞれに好きなものを購入…
ベンチに座って仲良く食べた。
「何それ?」
「こむぎっち、だって~」
「たまごっちの親戚かな~?」
「懐かし~な、それ🎵」
潤の買ったさつま揚げの串刺しみたいなやつも旨そうで。
俺たちは、分けっこして半分ずつ食べることに。
「はい、翔くん」
「…あ~ん♡」
「ちょっと熱いよ~…はい、あ~ん♡」
「(モグッ)あつっ…」
「ははは、翔くん、一口がでかいんだよ~」
「うんまっ」
ベンチで仲良く、一本のさつま揚げを食べる俺たちを、
通りすがりの女の子が二人、
ひそひそ、キャッキャしながら、見ていった。
………
「なんだよ、じろじろ見るんじゃねー!」
「ふふふ、翔くんがイケメンだから見てたんだよ」
「はあ~?何言ってんだよ!おまえだろ~」
「俺~?翔くんに決まってるじゃん!」
「お前の方がぜったい目立つんだよ!」
「そんなことないって~!」
………今度は、小学生くらいの姉弟、かな?
くだらない事で言い合いする、いい大人二人を、じろじろ見ながら通り過ぎた。
「…行くか?」
「うん…そだね…」
なんだか気まずくなった俺たちは、車に乗り込んで、再び軽井沢を目指して走り出した。