第20章 君をずっと思ってる
いつの間にか訪れた夜の帳が……
泣きながら抱き合う兄弟の姿を、
世間からそっと隠してくれる…
俺たちは、そのまま、暫く泣き続けた
子どもみたいに
声を上げて……
こんなに泣いたのは、いつ以来だろう
いなくなりたくない
ずっと、今のままでいちゃダメなの?
この先、急に自分が、自分の身体を残して消えてしまう何て、そんなの嫌だよ///
泣いて、
哭いて、
散々泣くと、
心のわだかまりが、ゆっくりと洗い流される
そして、
落ち着いてくると、
だんだん冷静な自分が戻ってくる。
我慢しないで声上げて泣いたせいでさ、
頭、痛てーし……
…………さて。
どうしよう……
あ、母さんに買ったたい焼き、
落としちゃってるし…
もう食べられないや……
智の肩越しに、
地面に落ちて、紙の袋から飛び出してしまったたい焼きと目が合った。
ごめんよ…
…美味しいって…そう言って貰えなくなったな…
「……帰るか〜?」
智が、ぼそりと言いながら腕を解いた。
「ん。母さん、心配してるかもね…」
顔を見れば、お互い、泣き腫らし真っ赤な目…
「…潤…イケメンが、台無しだな~…」
「そっちこそ…」
Tシャツで顔をゴシゴシ拭って、置きっぱなしのトイレットペーパーを手に取った。すると、
「手…」
智が俺に向かって右手を出した。
「手、繋いでこ!!…た、たまにはいいじゃんかっ」
自分で言い出しておいて、照れたのか、キレ気味の智の手を、黙って握った。
俺たちは、黙ったまま、家まで歩いた。
智に見せた本当の自分と、本音…
自分自身でさえ目を反らせていたそれに、智が一直線に入り込んできたから…
………この先、俺、どうなるの?
俺の不安を、『分かってる』とてもいうように、
智は繋いだ手に力を込めた。
その温かさに、
また泣きそうになった俺は、
奥歯をグッと噛みしめた。