第20章 君をずっと思ってる
【潤】
俺は気付いていた
俺の中に渦巻いていた大きくて黒い渦が、
少しずつその激しさを失いつつあることを…
大学から帰り、玄関を開けようとドアノブに手を掛けると、そのドアが思いっきり内側から開いた。
「わあああっ///」
ドアが激突する1㎝前で、何とか免れた。
「あっぶね!」
「あ、潤、お帰り~…って、何やってんの~?」
何やってんの?じゃね~しっ///
俺今、顔にとんでもない痣こしらえるとこだったんだぞ!
呑気に何言ってんだよ///
「あ、嘘っ…ごめ~ん」
「ドア開ける時は、もう少し静かに開けた方がいいと思うよ!!」
結構怒り気味に言ったのに、智ったら、
「そうだね、そうするよ~♪」
って…まあいいけどさ…怪我もなかった訳だし
「どこ行くの~?」
「ああ、買い物。母ちゃんに頼まれたんだ」
「へえ~…いってら…」
家に入ろうとした瞬間、智が俺の手首をぎゅっと掴んだ。
痛っってぇ~///なんだよ、また…
「一緒に行こうよ」
「はあ~?」
「だから~、買い物。駅前のスーパーでさ。トイレットペーパーがタイムセールで100円なんだって!」
あっそ。
じゃあ、頑張って~…
「潤も行こうよ!おひとりさま1個限りだから、潤も行けば2個買えるし…それに、トイレットペーパー、ひとりで買うのって、なんか、恥ずかしいじゃん…」
別に恥かしくなんか、ないと思うけど?
「もし、同級生にあったりしたら、すげ~、トイレットペーパー使う奴、みたいで、なんかさ…」
笑う智に、いや、実際結構使ってるじゃん!
そう言いたかった言葉は飲み込んで。
「しょうがねえなぁ~、じゃ、行くよ」
俺は渋々、智が頼まれたお使いのお供を承諾した。