• テキストサイズ

Baby blue【気象系BL】

第20章 君をずっと思ってる




「ちゃっちゃっと入っちゃおうぜ~♪」
「……」

無駄に明るい俺に比べ、潤は無言で服を脱いだ。

以前なら、『照れてんのかぁ~?』なんて言って、
脇腹くすぐったりする場面だったりするんだけど。

今夜の潤は、そんな雰囲気じゃなくて…

張りのある、透明な肌はいつもと変わらないのに、その背中は、妙に儚げで…

今にも消えてしまいそうな風情…

「潤!!」

俺思わず背中から潤を抱き締めた。

「翔くん?」

急に密着した肌が、何とも言えない生々しさを連れてしまい、焦って手を離そうとした。

すると潤は、胸に巻き付いた俺の手首をぎゅうっと握りしめ、消え入りそうな声で、

「……ちょっとだけ、こうしてて…」
と言った…


潤……
お前の不安を、俺が引き受けてやりたい…


抱き締めた腕から、
密着した全身から、

潤の不安が
俺の心を侵食してくる。


その不安の正体がなんなのか、
俺は知っている

ずっと近くで
なんなら、その不安を連れて来たのは、俺自身だと言っても過言ではない。


もしかしたら、どちらか一人がいなくなる可能性もあると知り、
正直、死ぬ程後悔した。

何で余計なことを!って……

自分の浅はかさを悔いたことか。


だけど……
堰は切られた。

今まで、硬く拗れていた結び目が、
ゆっくりと緩んでいく……

そしてその先にあるものは。


潤は当人だから…
俺以上にそれを感じているはずだ。

母親に優しくされればされる程、
愛に餓えた子どものままだった自分が、
やっとゆっくりと立ち上がる。

目を開けて、しっかりと前を、
その先の未来を見つめようとしている。

そしてそれは、
喜ばしいことのはずなのに、

本来あるべき姿のはずなのに、

どうしても…………


強く抱き締めた潤の肩が
微かに震えていた。


/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp