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Baby blue【気象系BL】

第19章 冷酷な真実に…




……………

………


……


「翔!!気が付いた?」

目を開くと、心配そうに覗き込む大きな目…


「潤…?…いや、J??」

「翔…」

「どっち?」


いつもなら分かるのに、
分かるはずなのに……

潤なのか、Jなのか分からない。

泣き出しそうな俺に、

「…潤、だよ…」
と…潤もまた、泣きそうな声で言った。

「潤…潤!!潤なの?」
「翔…俺だよ…」

夢中で潤の腕を引き寄せ、その胸に顔を埋めた。


「…気が付いたね…」
「あ…先生…」

デスクから立ち上がって、東山先生が俺にゆっくりと近付いて来た。

徐に俺の手首を握り、目を伏せて脈をとると、
「大丈夫そうだね」
そう笑った。


「……あの…俺…」

「過呼吸を起こしたんだよ…覚えてるかな?」
「あ…」
「Jは、君のことよろしくって…言ってたよ」

J……そうだ。
潤じゃなくて、Jだった。

俺が倒れた時、俺を抱き締め、耳元で何度も名前を呼んでくれていたのは……

「……J…」

「翔くん……」

あ、潤が…潤がいてくれるってことは、
Jは自分で潤と交代したんだ。

いったいどういうつもりで…

潤……
潤は、Jのことを知らない?
だとしたら、
何を…どう話したらいい?

第一、話すことなんかできるのか?

もしかしたら…
お前は………


そんなこと、
言えるはずもない。
出来るはずもない。

潤が…
潤が、いなくなるなんてこと…


「翔くん…俺のこと、好き?」
「え??どうしたの急に…」
「答えてよ…好きかどうか…」

「好きだよ…潤のこと、大好きだよ」

そう言いながら、俺を支えるその腕を強く握った。

すると潤は、
「よかった…それが聞けて…」

そう笑った顔が、余りにも儚げで、
俺は急に怖くなった。


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