第19章 冷酷な真実に…
【翔】
頭が真っ白で、何の音もない世界…
東山先生の声がどんどん遠くなる…
耳から入ってきた真実を伝える言葉が、
真っ白の渦の中に巻き込まれて、
消えていく……
俺が理解する前に…
………
どうしてそんなことに気付かなかったんだ
少し考えれば分かりそうなのに
俺は、
馬鹿だ……
『俺が二人を救う』
思い上がるのもいい加減にしろ///
そんな簡単な事じゃない…
分かった気でいたのは、俺だけだ。
Jも潤も、
俺にしっかりと警鐘を鳴らしてたじゃないか!?
やめろ…と
お前のやろうとしていることは
正義なんかじゃない…と
ふたりの救世主にでも
なれるつもりでいたのか?
俺は……
俺は………
俺は何て愚かだったんだ//////
潤の心の傷に入り込み、
無理矢理傷の奥に、
無理矢理薬を塗りこむようなことをして
潤を先生に診てもらい、
その傷を癒していくことが出来たら…
それが幸せなんだって、
そう疑わなかった
顔を背けるJに…
不安そうな潤に…
俺は何で気付けなかった!?
『人格の融合』
それは
どちらかの人格を失うことになるかもしれない
治療が上手くいけば、
どちらかが消えていなくなる…
そんなことが……
それが二人にとって、
幸せになる道なのか…?
それが…本当に……
身体中が震えだし、
息が苦しくなる///
過呼吸だ
「翔!翔!!しっかりしろ!息を吐け!!」
「翔くん、落ち着いて…大丈夫だから///」
「翔…しょう………」
「翔くん…しょうくん……」
東山先生と、Jの…
いや、潤、なのか?
ふたりの声が、どんどん遠退いていき…
俺は意識を手放した