第19章 冷酷な真実に…
「…潤が…潤が翔と幸せになれば…」
「本心を聞きたいんだ」
なんだよ…俺にだけ容赦ないんじゃないか?
この先生…
「回りくどい誤魔化しは、もう必要ないんじゃないかな?翔くんだってここまで来たら、知る権利がある…そうじゃないのか…?」
………
「俺は、あの人に…智の親にいつも気を使っていた…
あの人が俺を見る目が悲しそうで…
それが、自分の犯した罪のせいなのか?
それとも、自分が強いられた親父の罪のせいなのか?
俺の…覚えちゃいないけど、
産んでくれた親のせいなのか…
それは分からなかった……」
「J…本当の母親のことを覚えていない君にとって…美穂さんだけが母親だった…
そして君は、彼女に愛されたかった…
智くんと同じように…」
ふんっ…分かったようなことを…
憎まれ口の一つも言いたいけど、
ここのまま行くと、翔が知ってしまう真実と、
その後の翔の気持ちを考えると、
いつものように軽口を叩く気になれなかった。
黙っている俺に、先生の目は、
『続きを話すけどいいか?』
そう言っている気がした。
いいとも、悪いとも言えない俺は、
黙って目を伏せた。
「じゃあ、私が話そう…翔くん、驚かないで聞いて欲しいんだ…」
急に話を振られた翔は、驚いたように立ち上がってから、また静かに座り、
「俺も…知りたいです…」
そうはっきりと言った。
翔……翔…
お前、どう思う?