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Baby blue【気象系BL】

第18章 amends ~償い~




「…………潤が生まれたのは、智の1年9ヶ月後の夏だった……」

事実だけ見たら、周りの誰もが知っている事実を語ったに過ぎない

だけど、
その言葉の裏に、おばさんが長い間ずっと苦しんできた核がある気がした。

「博さんは、こっそり浮気をしていた…?」

先生は言葉を選んで質問する。

「………こっそりじゃない…智が生まれる前から、
二人が会っているの…私、気付いてた…」

さっきまで、苦しそうに眉間に皺をよせていたおばさんは、今度は表情一つ変えずに、坦々と語り始める…


「仕事だといって泊りが増えた…その何日かは、
…もしかしたら全部なのかもしれない…博は、のり子に会いに行っていた…

それに気付かない訳ない…でも…
問い詰めたりしたら、のり子と会わないで何て言ったら…博は私から離れてしまう…
今度こそ、永遠に……
そんな気がしてたから、ずっと知らない振りをしていた…

智がいれば…智と居れば、
あの人は私のところに帰って来る…
そう信じて…ずっと……ずっと…」

表情が無かったおばさんの目から
一滴の涙が、零れ落ちた


そんなに苦しんでいたんだ…

「そして、潤くんが生まれた…?」

「のり子が妊娠した時…博は、産ませることを許してほしい…そう言って頭を下げたの…私に…

私がダメだって言わないって…あの人は分かってた…
分かってて、お腹の子を認めろって…

そんな話って、ある??
そんな残酷な事って…」

先生はおばさんの手を握って、

「辛かったね…」
そう言った。

おばさんは、涙を流して肩を震わせた。


優しい穏やかな人だった…
少なくとも俺には…

笑顔で、潤や智くんのことも
俺の前では怒ったことも無かったと思う。

そんなおばさんが、
心に深い悲しみを抱えていたなんて……


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